IVYポサリさんの日記 |
2015年10月01日 17:26
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身近で接した黒沢明や三舩敏郎たち。
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といっても
僕の話ではありません。
ずーっと黒沢監督の下で、スクリプター(記録係り)
をしていた野上照代さん(88歳)の書いた本です。
映画というのは、ストーリー順に撮っていくわけではありません。このセットではシーン11とシーン23を撮影。そのあと隣りのセットでファーストシーン、とラストの手前のシーンを撮ろう。そういう風にバラバラに撮影します。
その時ビールのコップを右手に持っていた。帽子はソフトを深めに被っていた、とか細かいことを全部記録しておかなければならない。
そうしないとあとで編集したら、ビールが急に左手で持っていたり、ソフトがハンチングになっていて、、、といった間違いがよく起きる。それを防ぐ為の重要な係りです。
その野上さんが、三船敏郎や仲代達也の実像や逸話。黒沢監督がいかに悩みぬくかとか、、身近な人しか知りえない話が続々と。
例えば、三船敏郎。大連の写真屋さんの倅で、兵隊に6年。戦後、軍隊時代の友人が東宝にいたので、撮影部の仕事をしようと履歴書を戦友に託したら、何かの間違いで俳優部へ。野獣のような風貌に監督達が惚れるが。
本人は絶対に出ないと強情。
1回だけ出たら背広を作ってやる(軍服しか持っていなかった)、そしてそのあと撮影部に入れるからと騙して、映画出演。
黒沢監督が撮影後の宿で、スタッフや俳優達に、輪唱を強要したり、シベリアでのソ連映画製作で、サーカスの虎でなく野生の虎を出せと無理な要求。ソ連人がアタマをかかえた(「アカデミー賞の「デルスウザーラ」)とかとか
といったような逸話が満載。映画好きでない人も当時の世相や、東宝の争議に米軍の戦車が出動したとか。こういった生きた近現代史も感じられる。
僕にとってこんなに面白い本は久々、一気に読みました。
「もう一度天気待ち=監督黒澤明とともに」草思社
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